(5)神苑とその周辺
  神苑

    春日大社には 神苑といって、広大な植物園 (万葉植物園) があります。

     広さは約3ヘクタール (9000坪)。

    その名の通り 万葉集ゆかりの植物…
   当時 鑑賞された、または 食用・染料用 に使われた 植物 などが 植えられた
   「五穀の里」 「万葉歌園」 があります。

 万葉の時代、植物は 今以上に人々の生活に 重要な役割をになっていたようです。
 
     日本の神々は、一ヶ所にとどまることなく、天空から 降りてきて、
    また 帰っていくと 考えられていますので、 天に向かって 伸びる樹木は
     その 道しるべになる、よりしろになる という考えが 生まれてきました。

      また、巫女が舞う 神楽は浄め、祓いなどの意味があり、
    その手に、よりどころとなる 採物 (とりもの) をもつという発想がありました。
       それには、植物の場合、常緑の榊や笹の葉などが 使われました。

    そういった 意味合いもあって、昔から植物を 大切に守ってきたんでしょうね。


   長いあいだ 神聖な土地とされ、狩猟伐採が 禁じられていた 春日大社の境内には、
  スギ、ナギ、イチイガシ の巨木が残り、
        その時節には フジやアシビ (馬酔木) が見事に咲いています。

  神苑には、これらの昔からの樹木のあいまに、季節ごとの草花が植えられています。

     フジは、藤棚の上に 伸びていくもの という先入観が ありましたが、
       ここで初めて、見事に 立木となり、
       また 地上に 触れんばかりに 咲く 下がり藤を 見ました。

       中央には 水辺に ツツジの咲く池が あり、浮舞台が あります。
         クマザサに 囲まれた イチイガシの 巨木と遥拝石。
         ここでは 春と秋に 舞楽が演奏されますが、
          このあたりは 独特で清浄な雰囲気に 保たれています。

    浮舞台での 演奏の様子は、まるで 雲の上の楽人 のように見えますよ。



    ぶと


    神事のときに 供えられる食べ物を 神饌 (しんせん) といいますが、
   春日大社には 日本最古の菓子ともいわれる 古式神饌 「ぶと」 が伝えられています。

    遣唐使が 持ち帰った唐菓子で、米の粉で 作られる餃子の ような形のものです。

   春日大社 神苑 正門脇 の 荷(にない)茶屋 では、これを粉にして焼き上げたものを
   お茶菓子として賞味することができます。  香ばしくて素朴な味です。

       社務所にて

     お祭りの日に 社務所にて 販売される植物は、 産地が近いからでしょうか。
     非常に 生き生きして、いかにも 神気がやどっているようです。

    「正月(十日えびす)の笹」 「節分のネコヤナギ」……

   「菖蒲」 5月5日 端午の節供の日には、境内 すべての社の屋根に
    菖蒲 と よもぎが 厄除けのために置かれます。

    朱色の塗り、茶色の檜皮葺の屋根に映えて美しいです。

            その他…、「宝船」の図柄は少し抽象的で変わっています。

      ささやきの小径から志賀直哉旧居へ


    二の鳥居から、うっそうとした アシビの木の間を 続く小径(こみち)があります。
    早春には 白い花が咲く この小径は、もともとは 神職の通いの道。

    ここらで出会う鹿は 子鹿や若い鹿が多いです。 やはり樹々に 囲まれているから…

   この500mほどの道を 抜けたところに 昭和の初め頃の 志賀直哉の旧居 があります。
   この道は、よく 彼が好んで 散歩したそうです。

    そして、和洋折衷の趣のある 彼の書斎からは、

        夏の雨上がりに 春日山の樹々の間から 涌く雲が、
           秋には 美しい紅葉が 一望に出来た とのことです。

   春日大社の周辺は、神苑、飛火野、雪消しの沢、ささやきの小径…など
     なるべく 人の少ないときに、 ゆっくりと 歩いてみると、

     ただ それだけでも、深い感慨が ありますよ。


 ・春日大社 http://www.naranet.co.jp/kasugataisha/  (世界遺産)

 ・奈良交通 http://www.narakotsu.co.jp/index.html

  ☆ 春日大社に行ったあとに読んでみた本
   
   ・文士の大和路
   ・心を癒し自然に生きる



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