「ケルン・コンサート」(キース・ジャレット)という即興ピアノのアルバムがあります。また上杉春雄さん、フジ子・ヘミングさんという一風変わったピアニストの話題。そして雅楽、舞楽…。

抽象的な音のなかに有るものを感じとるように聴くと、感性の筋トレになる?!



        「ケルン・コンサート」 キース・ジャレット


このアルバムのキース・ジャレットが気に入ってます。
(もうひとつあげれば、同時期の「マイ・ソング」です)

これをはじめて聴いたのが、78年。こんなにタッチの美しいピアノの音、こんなに自由におもむくままに弾いているピアノ演奏を初めて聴きました。

この日のキース・ジャレットは熱があって体調が悪かったらしいです。
でも、流れるように、即興で弾いているのに、キチッと展開していく演奏はスゴイです。

1曲目は以前、CMでも使われたことがありますが、聞きやすい感じの出だしです。

当時はこの部分だけよく聴いていて、残りの曲は聴いてもなぜか地味で聴きづらかったのであまり聴かなかったんです。

それが今聴くと、すべてが心地よく入ってきます。そして何度繰り返し聴いてもあきないのです。

このアルバムには全体を通して暖かいものが流れているよう。

それが、何年か時間をおいて聴きなおすと、誰でも、心の変化に応じて少しずつ心の奥にしみわたってくるように思います。



        「AQUA 水〜生と死の間に流れるもの」 上杉春雄


NHKラジオでインタビューとともにこのCDが流れているのを聴きました。
ラベル、ドビュッシーという現代音楽のきれいな曲です。

それがタイトル通り水がうずまいてキラキラと流れていくような演奏でした。
いっぷう変わっています。

ただのピアニストでなく神経内科医として難病治療に携わる現役医師というのを聞いて驚きました。

医学生時代、諏訪内晶子との共演経験がありながら、音楽はなくても困らないものですが、医療はないと困るもの、という理由で音楽活動を中断されてました。

それがあるとき患者さんの前で、ピアノ演奏をされたときに

「先生のピアノを聴いていた30分だけは病気のことを忘れることが出来ました」

という感謝の言葉をもらって感激したそうです。

自分にとってもまわりの人々にとっても音楽が必要とされていることに気づかせてもらった…。
そして音楽活動を再開しながら、今も院内コンサートを続けているそうです。

一方で、プロジェクトを立ち上げて科学的に音楽療法を研究されてるそうです。

ドビュッシーは多分、ひとつのところでクルクルまわる運動体をイメージして作曲したのだろう。
音楽を聴くと、体が動いてなくても見ていなくても脳が活動している。
「見ている」以外でも、イメージしている世界で生きているそうです。

聴いているだけでも、体を動かしているのと同じ効果がある。
ただ、聴くだけではやはり限界があるかもしれない、研究中とのこと。

音楽家は科学よりもっと先を行っていたそうです。
音楽は脳のなかで、どう処理されてるのか…
科学では はかりしれない、まだ証明できない大きなものがある。

それを音楽自身で受け止めながら研究していきますというお話でした。

そういえば確かに、ぼんやりと図形や色がうかびそうに思います。
もっとはっきり、踊る人々や景色が思い浮かぶ、特にライブでは、という話を聞いたこともあります。

研究がすすんで、音楽がもっと広く自然に使われるようになってほしいなと思いました。



        「フジ子・ヘミングの奇蹟  フジ子・ヘミング

cover
クラシックはほとんど聴かないし、フジ子・ヘミングについては昨年(2003年)のTVドラマを見るまで知りませんでした。

波瀾万丈の人生。 演奏家としてスタートしようとしたときに聴力を失う。
その後不遇と孤独の時期が続く…。

ある日、施設の片隅にあったピアノを何気なく弾いていると、車いすの老人、精神的ショックからこころを閉ざしてしまった老人が、横に来てじっと聴いていたらしいです。そして身振りで、そのまま続けてほしい、と。

見ると大粒の涙がこぼれている。

それがきっかけで、ピアノ演奏を再開したらしいです。

「20年間の孤独のなかで音楽をやってきて、だんだん清らかになってきた」
「自分の人生にとってよかった」

「ピアノは人前で弾く必要ない。だれもいない方が楽しい」とも。

あるとき、ピアノを弾くと、外から入ってきたハトがピアノの上で羽を拡げてコザックダンスのようにその場飛びのジャンプをして踊り始めた。 ネコのとなりで。

その話、半信半疑でしたが、ピアノの音を聴いてみて信じました。

どの曲の音もなぜか涙がでそうになります。 音に何かもの悲しくもあたたかいものがあるんです。

こういう音色ってどうやったら出るんだろう。
ネコや鳥、動物たちが寄ってくる気持ちがわかります。

癒しの…とかいう表現なんか ふっとんでしまう感じですよ。




           宮田まゆみ  笙



今年の春、NHKで、オーケストラとの共演を見ました。
武満徹作曲の「セレモニアル」。ヨーロッパでの演奏…。

笙の独奏部分もあり、全体のサウンドの感じが、笙の神秘的な抑揚やフレーズにマッチしてました。

このようなかたちで演奏されると笙がダイナミックに生かされるんですね。
西洋楽器、それもオーケストラとの共演が出来る曲がいつのまにかたくさん作曲されていたんだと感動しました。

ホントに久々に宮田まゆみさんの演奏を聴きました。

初めて聴いたのは、86年、たまたまつけたテレビで…。神秘的な音色でした。

今にして思えば、笙の音色、雅楽に興味を持った出発点はここかもしれないと思います。

宮田さんのユニークな点は、笙を独奏楽器としてとりあげたこと、そしてクラシックピアノ出身で笙の演奏の道に転身した点です。
その頃は、世襲の雅楽師以外は珍しく、苦労もされたのではないでしょうか。
だからこそいま笙を国際的に広めた第一人者として活躍されてるんでしょうね。

以前のインタビューで「究極的な目標は、宇宙の音、リズム、ハーモニーを聴くこと、感じることなんです」と話されています。

笙が宗教音楽で使われる理由は倍音にあるのでは…とも。

不思議な音色は「天から差し込む光」を表していると言われてますが、ムズカシイことはともかく、夢や想像の世界にひたりながら聴いていきたいと思いませんか。

武満徹 マイ・ウェイ・オブ・ライフなど、CDを探して聴いてみたいと思います。




           ウォン・ウィンツァン  ピアノ


いやしの音楽というジャンルは、ちょっと敬遠気味だったのですが、このピアニストは気になる存在です。 繊細な音のピアノソロで即興演奏を中心に演奏活動をされてます。

最近は、97年 NHKスペシャル「家族の肖像」テーマ曲、01年 NHKスペシャル「水と森が生んだ奇跡〜世界遺産 中国・九寨溝〜」テーマ曲を作曲 と、作曲家としても活躍されています。

華僑の一族として神戸に生まれた彼は、もともとはジャズ・ミュージシャン。

マイルス・デイビス、ビル・エバンス、キース・ジャレットの影響、そしてクラシックの現代音楽からも影響をうけています。

普通なら、その道の延長線上で演奏家としてずっと進むのですが、まず変わっているのは、20代前半から、音楽の本質を求め始めたことです。

そして15年以上も探し続けているうちに瞑想という方法に出会ったそうです。


「 2週間、ピアノから遠ざかって瞑想したあと、弾いてみた瞬間、素晴らしい演奏ができた…。 
音楽の本質に触れたような気がした 」


神秘的なことはともかく、そこまで追求したことは素晴らしいことですね。
そして、日々の努力を積み重ねた上での瞑想だったので、その答えをつかむ最後の一押しに
なったのでしょうね。


「すべてを手放して自分の内側から出てくるものに身をまかせた。
いつもその状態になれるわけではないが…自分の内側に意識を向ける」

そして…
「音楽を通してみんな ( この場所、聴衆 ) とつながっていきたい。
そしてまた、音楽を通して自分を見つめていきたい。 対社会的な自分でなく、 すべてを解き放った自分を」


また、日本の童謡の素晴らしさを表現したいと、童謡シリーズのCDも何枚かあります。
テーマのあとに静かにアドリブへと続く…

それを聴いてみると、確かに暖かいものが流れているようです。

よくテレビで、レポーターが海外の少数民族を訪ねる番組がありますが、彼らが素朴に彼らの歌を歌ったあと、「あなたの国、日本の歌を聴かせてほしい」という場面があります。

そんなときはやはり童謡かもしれないと思います。メロディーやハーモニーにいいものが流れているように思います。


『フレグランス』というアルバムのなかの「Asian Sea」はいいなと思いました。
いろんな機会に少しずつ聴いていきたいと思ってます。

これからの音楽はもっともっと自由になってほしいと思いませんか?
技術的にすぐれた音楽家がいてもいいんですが、ごく普通の人たちが気軽にそのときの気持ちを即興で奏でてみて楽しむ…。


ちょっと先の時代にはそんなことが 当り前になっているように思います。

  ( 詳しくは…satowa music
 )



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