春日大社

(1)宮司さんと旬祭

  ・きっかけは…

ふと思い立って久しぶりに行ってみたとき、社務所に宮司さんの本『〈神道〉のこころ
がおいてありました。 99年正月のことでした。

よくある神道についての難しい本ではなく、宮司の葉室頼昭さんご自身の波瀾万丈の
人生…医者から神職へそして春日大社宮司へという体験談、人生や物事のとらえ方
についての本でした。

1年後。 関東から関西へ引越してすぐ、ラジオからあるアメリカ人女性へのインタビュー
の放送が聞こえてきました。
クラシックの世界から奈良の雅楽の演奏団体、南都楽所(がくそ)に転身したという…
春日大社の話も…

      ・まず旬祭(しゅんさい)へ

    で、一度お話を聞きにいってみようと…。

 最初、セミナーのようにお話だけが聞けると思って問い合わせてみたら、旬祭(しゅんさい=毎月1、11、21日の
 お祭り。一般参加は21日)に参列後、講話があるとのこと。  【→旬祭講話は2008年3月で終了】

            思った以上に、静かな感動、趣がありました。

         寒さしみ入る冬の朝。長い参道、両脇の木々の向こうから鹿の声。
      二の鳥居をくぐるとぽつっと祓戸神社の祠(ほこら)が…。
             ここの手水所で手を浄めてから、また、ずうっと歩いて本殿へ。

                ほかの一般の方たちといっしょに本殿の回廊へ。そして神職の方々も。
      平安時代の絵巻物にも描かれているその同じ場所のなかに 今、自分は居る。

            まさに神事が始まろうとするとき、はらはらとぼたん雪が降りだして、朱色の柱に映えます。

    すっと番傘をさしかけてそのまま静かに進行します。
          祝詞(のりと)は一音一音、ず〜んず〜んと唱えられました。「た〜か〜ま〜が〜…」

             藤の花の飾りをつけた巫女(みかんこ)の舞、笛、琴の音色…。

     景雲殿という広い建物に移動して、引き続き宮司さんのお話。
話し始めは小声、そのうち徐々に声が大きくなり、その流れでその日のテーマに。

     その日は「脱皮」がテーマ。

  動物や虫は脱皮しますよね。
 それが人間でも、そういう時期はあるらしいです。

      例えば厄年。男の場合は40代の生活、考え方に変えれば その後 長生きできるとのことです。

       それ以外でも、人生の転機の時が脱皮の時。
           そういうときどうするか。

宮司さんの場合…、「医者から神職へ」のとき、1冊の本を何十回も読んだ。
                すると頭で理解できなかったことが、ある日ひらめくように さえた。

  「神職から宮司へ」のとき、体調をくずしながらも、感謝の気持ちをもって大祓詞を何度も何度も唱えた。

   すると、ある日突然ひらめいた。
全く違ったものに気づくと脱皮する…らしいです。

「脱皮」する前の時期が苦しいとのこと。

もうダメかなというときがチャンス。
苦しいけど目の前のことをもっとやる。我慢してたゆまざる努力と進歩を続けてると…
            いつかある日突然変わる。脱皮する。

日常の小さなことならともかく、60才からの転身、1200年以上の伝統を継承する世界へという脱皮は
なかなかできるものではありませんね。

    それでもなお、ものすごく人間レベルの努力を重ねて。 
                           なのにその結果は、神様のおかげだと話されてました。

こういう話って都会のまんなかで聞くと説教くさく聞こえるかもしれないですが、野鳥のさえずりや、
    木々の香りの中で聞くと なんだか胸の奥に響きました。

その後、何度かお参りや散策で訪れました。そして自分にとっての区切りの時期にお参りした帰り、
           二の鳥居のところにさしかかると、一頭の鹿が近くに来て立ち止まりました。

       あれっ?と思って、振り返るとじっとこちらを見て立っているんです。
              まるで見送ってくれるように…。ずっと動かないんです。

      偶然とはいえ、神の使いとされる鹿に見送られるというのは、不思議な心地がしました。

   自分も何か脱皮したのかもしれないと感じました。

* * *
【このページの宮司さんというのは2008年3月に退職された葉室頼昭宮司のことです】

 

・春日大社 http://www.naranet.co.jp/kasugataisha/ (世界遺産)

・奈良交通 http://www.narakotsu.co.jp/index.html

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